日本の森林事情
日本は国土の3分の2(66%)を森林が占める、フィンランドに次ぐ世界第2位の森林大国です。さらに森林面積の4割強(46%)が杉・檜を中心とした人工林であり、十分な森林資源を保有した国といえます。
にもかかわらず、国内で消費される木材の約8割が海外からの輸入材であり、国際的な環境保全の観点からも海外の天然林木材ではなく、自国の木材を適正に消費することを求められています。
単純に『木を伐らなければ環境保全になる。』との考えは誤りです。 日本国内の森林面積の4割を越える人工林は、木材を得るために人の手で造られた森林であり、管理されることなく放置された人工林が環境問題を引き起こしています。
例えば、密集した脆弱な杉・檜から発生する大量の花粉が多くの人を花粉症で苦しめています。 日照不足の人工林表土は下草も育たず、やせて保水力が低下し、表土流出や土砂崩れを引き起こしています。 大雨のたびに日本の森林は水を蓄えることができず、大量の流水と共に河川への土砂流出が頻繁に起こるようになれば、河口から海洋にかけて堆積した土砂が良好な水産資源を破壊することにもなります。
全国各地の漁業関係者が、川上の森林経営に関心を持ち、山の環境保全を強く求める事例が近年急増している背景がここにあります。
花粉が飛散する季節に、杉や檜を恨めしく思うよりも、杉や檜をキチンと使って健全な日本の森林環境を取り戻すことで、不自然な大量の花粉飛散を無くしていくべきではないでしょうか。
水は天からの貰い物と思いがちの日本人ですが、近年真夏の水不足を猛暑が原因と決め付けていいのでしょうか。 木は茂っていても保水力の低下した日本の森林に、その原因の1つはあるのかもしれません。
一見、毎日の私たちの生活とは無関係のように思える日本の森林が抱える問題も、身近な住宅を日本の木材で建てることで解決するのだとしたら、環境保全に関心のある方ならば聞き逃せない話題ではないでしょうか。
掲載日 2005.04.28