シックハウス症候群への対策2:化学物質過敏症対策
化学物質過敏症になる人は、最初に大量の化学物質に被爆することから始まるため、まずは大量被爆を防ぐ建材の選択が大切です。
使用する材料は、基本的に化学物質がなるべく含まれない、天然系素材が望まれます。
特に注意するべきものは、塗料、接着剤、内装仕上げ材の選択です。
対策の基本は次のとおりです。
揮発性有害化学物質を多く含む建材はなるべく使用しない。特に室内側の 表面仕上げ材など、空気環境に影響を与える箇所での使用を控える。
塗料はなるべく天然系を使い、有機溶剤を含まない、水性または天然油脂系のものを使用する。
接着剤は広い面積に使用する場合、有機溶剤を使用していない天然系のものが好ましい。壁紙用にはメチルセルロース系、カーペット・フローリングにはダンマル樹脂・天然ラテックス系などを使用する。
壁仕上げ材にはビニルクロスはできるだけ避け、紙や布の壁紙や塗り壁、木の仕上げが好ましい。これらは有害物質をほとんど含まないばかりか、室内の湿気をコントロールする調湿性のある点が評価される。
ただし、通気性がよいため下地の有害物質(合板のホルムアルデヒドなど)が出てきやすくなるので、下地材の選択には注意が必要である。
予算などの都合で理想的な壁仕上げ材が使えない場合には、健康や環境に配慮した壁紙(SV規格品など) を使用する。
床材には天然木、コルク、天然リノリウムや、裏打ち材に問題はあるがウールや麻のカーペットが好ましい。
室内の空気に触れる合板には、なるべく低ホルムアルデヒド合板(F☆☆☆☆グレード)を使用する。または代替材として天然木や、低ホルムアルデヒドのパー ティクルボード、MDF(中質繊維板)などを使用する。
住宅が完成した直後には換気を十分に行うことが重要である。
不幸にして化学物質過敏症になってしまった人に対しては、建材や塗料、接着剤などの選択に、細心の注意が必要です。
まず、アレルギーと同様に、過敏症を引き起こす原因物質を突き止める必要があります。このための専門研究所や病院が日本にはまだ少ないため、正確な診断は困難ですが、過敏症を引き起こす場所の空気を採取して、汚染物質を調査することは国公立大学によっては可能です。窓口としてまずは保健所や総合病院などに相談することです。
また、平成12年10月に施行された「日本住宅性能表示制度」に基づき、同制度の評価機関でホルムアルデヒドをはじめトルエン、キシレンなど5物質の室内空気中濃度測定を行う業務が始まっていますので、医療を目的としたものとは別に、調査を依頼することは可能でしょう。
現在、日本には建材の成分表示義務の法律がないため、なかなか原因が突き止められないことが考えられますが、その場合には、化学物質で処理されている建材を、極力避けるしかありません。
この場合には最善策がありませんが、一つ一つの材料や塗料などを手にとって匂いを嗅いでみたり、天然素材でつくられた部屋で過ごしてみて反応を見ることなどが、確実で早い方法かも知れません。
掲載日 2007.11.20