木の匠ブログ

木のあれこれ

カテゴリー
菊池建設をもっとよく知るには
住まいと健康豆知識
木のあれこれ
森を守るということ
坐漁荘復元ドキュメント
匠の技ドキュメント

菊池の台杉:豆知識

台杉の起こり

台杉は北山杉の産地・京都市北山高雄地方の急峻な山で、効率よく杉の磨き丸太材を生産する方法として編み出された、山人の創意工夫の産物です。 時代は西暦1200年頃、室町時代中期といわれています。 それまで、末口径1寸(丸太の先端部分、最小断面の直径が約3センチ)程度の垂木材も1本木の杉を切り倒して採取していたため、栽培期間が短く、新しい苗木の確保が困難になることもあったようです。 こうした問題を解決するために「取り木」と呼ばれる“台”をつくり、そこから枝を垂直に伸ばして「立ち木」に仕立て、恒常的に磨き丸太を生産することが考えられました。

垂木に磨き丸太を使った、草庵茶室の屋根軒裏

台杉の栽培

台杉は苗を植え付けて、5年から6年目に最初の枝打ちを行います。 その際、将来「取り木」となる裾の方の枝を周囲に残しておき、そこから上の枝は梢頭部に樹冠を残すのみで、大部分を打ち落とします。 その後は上部の成長した部分を隔年ごとに枝打ちし、垂木に適した大きさまで育ったところで裾のすぐ上の位置で伐採し、最初の磨き丸太を収穫します。 1本目の伐採後は、「取り木」の中から直立してくる枝で素性の良いものを2本から3本、次の代の「立ち木」に仕立て、適寸になったものから適宜伐採していき、この繰り返しで100年から200年の間、磨き丸太を生産していくのです。

台杉特有のプロポーション

庭園観賞用台杉

京都・北山の特産品として数多く栽培されてきた台杉でしたが、戦後、建築基準法で建物の防火措置が規定された事もあり、次第に垂木材の需要が減少すると共に生産量も少なくなってきました。 しかし、台杉のしなやかで優美な姿が観賞用に適していることから、現在では茶庭や日本庭園から、ゴルフ場や公共施設などのシンボルツリーまで幅広く庭園観賞用として使われるようになりました。

観賞用台杉の中でも珍重されているものに、「シロスギ」と呼ばれる品種があります。 「シロスギ」は挿し木によって栽培され、他の品種と交配する事のない純粋種として作られたもの。 樹皮に独特のしなやかさがあり、葉も長めで柔らかく、一般的な杉に較べて繊細な印象を受けます。 また、実が生りにくい品種ですので花粉の心配も少ない利点があります。

数寄屋建築と調和する台杉

掲載日 2007.11.22