Interview22
あえて菊池建設らしくない住宅に挑戦した
3匹の愛犬と快適に暮らすデザイン住宅
神奈川県藤沢市T様ご一家
01
担当者と一緒に新しいデザインを追求した住宅
拝見したお住まいは思い切ったデザインのように感じましたが?
ご主人様
本当は平屋の和風住宅を建てたいと思っていたのです。軒の深い瓦屋根に、磨き丸太で支えられた下屋庇が玄関先から広縁まで、すっと回った落ち着きのある上質な日本の家を。ですが理想的な平屋を建てるには十分に広い土地が必要で、資金的にも無理だと判断し、ならば思い切ってモダンな洋風で行こうと方針を変えました。それもおよそ菊池建設の建物と思えないような斬新なデザインで。 菊池建設の建物は良い材料を使って丁寧につくられていることは知っていましたし、長年実績のある和風住宅「檜の家」はどこに建っていても一目見るだけで菊池建設の建物だと分かります。最近では菊池建設でもいわゆる洋風の住宅が増えていて、こちらは素人目には見分けがつきにくいのですが、菊池建設の社員、特に工事監督さんには分かるそうです。
おっしゃる通り、当社の建物にはどこか従来の和風住宅の面影が残っていて、たとえば外装の材料や施工方法には共通するものもあります。和風住宅は素晴らしいのに、洋風の方はいま一歩印象に残らないといわれる理由がこのあたりにあるようです。
ご主人様
そこで営業担当の方と相談して、ここはひとつ斬新な発想で菊池建設らしからぬ住宅を建てようということにしました。目安としては菊池建設の工事監督さんが見ても自社の建物だと気付かないようなものにしようということです。和のスタイルについては、菊池建設は完成されたものを持っていますが、洋のスタイルには様々なものがあり絞りきれないジャンルでもあるので、今回我が家を一つの事例にしてもらえればと思いました。
奥様
この家の周辺には、歩いて見て回れる菊池建設さんの建てた住宅が4棟あります。それも都合のよいことというか、それぞれ雰囲気の異なる家ばかりなので外観を見るだけでも参考になるのではないでしょうか。そのなかでもこの家は特徴があると思います。特に屋根型は担当者の方が意識してデザインしてくれたものです。日当たりのよい南面に向けて大きく片流れにした屋根をメインに、北側の屋根を「入」の字のように組み合わせてあります。将来、この南面に太陽光発電パネルを載せることも考えたデザインだそうです。この屋根は北側に高くなっていきますので、小屋裏利用の収納スペースも確保してもらいました。一見奇抜な屋根型ですが、屋根を内外共に効率よく利用することを考えた優れたデザインだと思いますよ。
ご主人様
外壁も屋根型の特徴を活かした2種類のサイディングを貼り分けたもので、一見、板貼りのような2階の外壁と石材表面を粗く仕上げたようなコタタキ調の外壁との対比が、単純になりやすい総2階の外観にメリハリを与えていて、なかなかの出来栄えだと思っています。実は図面を見ても簡単にはイメージできなかったので、この外観に決定するまでは営業担当の方も苦労されて、最後には小さな模型まで作ってくれました。「斬新な発想でデザインしよう」と話し合ってきたので、気合を入れて特別に作ってくれたそうです。白いスチレンボードと茶色の段ボール紙を使って、外壁の違いも表現してくれた力作でした。その熱意も伝わってきて、我が家の建築が楽しみになりました。
間取りについてはどのようなご要望だったのですか?
ご主人様
敷地形状に合わせて、大まかな間取りは私の方で考えたものをたたき台にして打合せを進めてもらいました。家族4人が無理なく暮らせるプランで、小屋裏を含め納戸や物入れなど十分な収納スペースを確保すること。子供たちの友人が遊びに来て泊っていくこともあるので、大きめのダイニングテーブルと客室にもなる和室を備えることが条件でした。
奥様
基本プランを主人が考えていたので簡単にまとまるかと思っていましたが、プロのアドバイスを受けるといろいろ気付かされることもあり、迷いも出てきたり、階段の位置やキッチンの向きを変更したりして、やっと現在の間取りに落ち着きました。それでもその後、設備機器や照明器具、カーテンなど決めなければならないことがたくさんあって、毎週日曜日には家の打合せをしている状態でした。ずいぶんと時間を費やしましたけれど楽しかったですね。子供たちともカタログを見ながらあれこれと意見を言い合って、家族間の会話が増えました。
02
ペットとの快適な生活を実現する住まい
部屋の中を3匹の犬が元気に走り回っていますね。
奥様
我が家には14歳になるダックスフンドと、やんちゃな2匹のプードルがいます。家族同様に可愛がっていて家の中で飼っているのですが、前の家ではソファーやテーブルをはじめ部屋の床や壁も絶えず傷つけられてボロボロになっていました。今回の新築ではこの点を考慮した「ペットと快適に暮らせる家」もテーマにしてプランニングを進めてもらいました。
ご主人様
室内の床は傷がつきにくく水濡れにも強く、犬の抜け毛や食べ残しなど汚れをキレイに清掃しやすいこと。和室の畳も以前ペットと泊まれるホテルで目にしたもので、イ草の代わりに防汚加工した和紙を畳織りして、水濡れに強く汚れも拭き取りやすい縁なし畳にしてもらいました。 以前の家は腰壁を板貼りにしたり、室内に木材を化粧材としてたくさん使っていましたが、犬を飼っていると引っかき傷がついたりして、せっかくの化粧材が台無しになっていました。そこで今回は思い切って木材を見せることを極力控えることにしました。イメージしたのはシンプルな真っ白い部屋です。斬新なデザインに仕上げようと決めていたこともあって、室内の床を光沢のある大理石調の白いフロア材に統一することにしたのですが、これが女性陣の反対にあってしまい、玄関ホールだけになってしまいました。
奥様
壁と天井も真っ白の部屋で、床まで白い大理石調のフロアになってしまうと、住宅というよりブティックやクラブのような商業施設になってしまうと思ったんです。娘も無機質なイメージで落ち着かなくなりそうだから何か色をつけて欲しいと。リビングに檜の大黒柱が入ることや、和室とのつながりを考えて、檜の木肌に馴染むような明るいベージュ色かかったフロアに変更してもらいました。
ご主人様
結果としては良かったかなと。当初イメージしていた真っ白な床ではなくても、一般的な木質フロアとは違います。傷に強い幅広のフロア材でつなぎ合せの溝が少ないので掃除がしやすく、ペットを飼うには衛生的です。犬たちが激しく走り回ると滑りやすく走りにくそうですが、おとなしくしてもらえた方が助かるので、躾の意味でもちょうどいい具合だと思います。
愛犬と快適に暮らすために、エクステリアにも工夫があるそうですが?
奥様
ダイニングから出入りしやすい高さに、ガーデンテラスをつくりました。このテラスには散歩から戻った犬たちの足を洗える屋外シャワー水洗が設置してあります。これは主人自慢のアイデアなのですが、屋外シャワーの水がどの方向に流れても困らないように、テラス下の周囲にグレーチング付きの排水溝を設けてあります。テラスの床はタイル張りですので、思う存分シャワーを使うことができます。狭い洗い場に追いやられると犬たちも身構えてしまいますが、これならスムーズにシャワーで足元を洗わせてくれるので随分便利になりました。
ご主人様
敷地全体としてはクルマ3台分の駐車スペースを確保した開放的なエクステリアです。庭もガーデンテラスを中心にしたコンパクトなものですが、3匹の小型犬を遊ばせられるよう周囲を格子フェンスで囲みました。なるべく泥汚れしないよう、地面にも砂利を敷き詰めたので、頻繁にシャワーを使うこともなく犬たちも快適に過ごしていると思います。
03
確かな基本構造が支えるデザインの自由性
インテリアで工夫されたことを教えて下さい。
ご主人様
テレビボードの後には階段があります。大黒柱を別にして、ここだけ柱が3本並んでいるのは設計当初、壁をつくらず柱の間に笠木手摺を納めて、リビングを見おろせる階段室にしていたからです。単調な白い壁の連続よりも、リビング階段を見せた方が建築として見栄えもすると思っていたのですが、年頃の娘にとって、テレビを見ている家族から階段の昇り降りも見られることには気遣う必要があることに気付きました。そこで急遽デザインを変更したのですが、せっかく柱を出してあるので特徴のあるものにしようと機能性インテリアタイルを貼りました。これは「調湿」「ニオイ吸着」「VOC吸着」の3つの機能を持っているもので、ペットを飼う家には最適な素材です。壁の素材感を損なわないように、飾り棚もガラス板でつくることにしました。この壁を照らす間接照明の効果もあって、なかなかの出来栄えだと思っています。
奥様
インテリアについていえば、選択肢がたくさんあり過ぎて正解がひとつではないので本当に悩みましたね。カーテンひとつ選ぶにも大変な思いをしました。いろんなお店に足を運んで気に入るものを探しました。いいものは決まって高価なのですが、せっかくの新居なので家族全員で、これはと思うものを選びました。なかでも一番のお気に入りは、上げ下げ式のシェードカーテンです。とても効率的で部屋をすっきりと見せてくれるので、ダイニングの東側窓のほか、2階の子供部屋にも付けました。
ご主人様
和室には内障子が入っているのでカーテン選びで悩むことはなかったのですが、シェードカーテンを見ているうちに上げ下げのできる和風のロールスクリーンでもよかったのかな、と思い始めています。思い切ったデザインにと考えていた割には、固定概念で内障子にしてしまいましたが、内障子は開けても窓の半分は塞がれてしまいます。ロールスクリーンやブラインドを和室のインテリアにするアイデアも今後検討してみたいと思っています。是非、菊池建設さんでも柔軟な発想でお客様への提案にしてみてもらいたいですね。
奥様
知り合いの若いご夫婦が、ご自宅の床を白くすることを検討しているので見せて欲しいといって、見学に訪れたことがありました。ほぼ一日かけて随分熱心に見ていましたよ。奥様は水周りにも関心が強くて、キッチンの自動棚収納や蛇口に触れる必要のないセンサー水栓、浴室のジェットバスには注目して下さいました。私たちも少し贅沢かなと思いましたが、結果は大正解でした。家を建てる機会はそう何度もありませんから、悩まれると思います。特にそれまで経験のないことをしようとするときには不安も感じますし。私たちもあれこれと悩みましたから、この家が参考になれば嬉しいですね。
ご主人様
参考になるという点では、この家は建築の時から近所でも注目されて、いろんな方に見てもらったと思います。特に上棟の時には使われた木材の量も多く、梁も他社の現場より太いものがいっぱい使われていましたから、近所の人は驚いていましたね。今回「菊池建設らしくないデザイン」をことさら強調しましたが、どんな姿になろうとも目に見えない部分の材料やつくり方がしっかりとした、確かなものだから安心してデザインをいろいろ検討することもできたのです。見掛けだけが決め手ではなくて、基本の構造が真面目につくられていることが、一番重要です。建物の構造がよく見える時期に注目を集めるということは、素人目にも違いが判る優れた建築だと言えるのではないでしょうか。
奥様
家族全員が納得のいく、想い描いていた以上の新居が実現しましたのは、どこまでも誠実で熱心に正確な仕事をこなしてくれた菊池建設の皆さんのお陰です。社員の方々はもちろん、大工さんはじめ職人さん誰もが、いつも笑顔で対応して下さいまして本当に感謝しています。ありがとうございました。
スタッフ
注文住宅はお客様と一緒につくり上げていくものだということを、あらためて実感したお住まいでした。こちらの建築で培ったデザインの工夫やノウハウを活かして、新しいニーズにお応えできる住まいづくりに精進したいと思います。ご家族の皆様、これからもお元気でお暮らし下さい。本日はありがとうございました。